米国務省高官がジョージア政権を「反米」と指摘 制裁含め重大な警告発動へ
米議会公聴会で浮き彫りになった深刻な対立
5月21日、米議会下院外交委員会の公聴会でマルコ・ルビオ上院議員(共和党)が、ジョージア(グルジア)の与党「ジョージアの夢(ქართული ოცნება)」政権を「反米政権」と明確に位置付ける発言を行った。この発言はジョージア政府が推進する「外国影響力透明化法」撤回を求める市民デモ(※現地では「自由のためのデモ」と呼ばれる)が続く中での重大な進展となりつつある。
米議員「自由の闘士を支援」と強調
ジョー・ウィルソン下院議員(共和党)は現地メディアとのインタビューで「200日以上にわたり、自由を求めるジョージア市民が米国旗やトランプ前大統領のポスターを掲げて路上闘争を続けている」と指摘。「米国務省は反米的政権にいかなる責任を負わせるのか」と鋭く質問した。
これに対しルビオ議員は「米国の国家益を考慮しつつ、反米政権が重要な地域を支配することを容認しない方針だ」と明言。具体的制裁を含む措置を検討中であることを示唆し「現在検討プロセスにある」と述べた。
背景にあるMEGOBARI法の成立
この発言の背景には5月6日に米議会で可決された「MEGOBARI法」がある。これはジョージア政府幹部に対する資産凍結やビザ発給制限を行う制裁法で、民主主義の後退と欧米への敵対姿勢への対抗措置と位置付けられている。
イラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相は5月13日、トランプ前大統領らに送った公開書簡で同法を「ジョージア国民に対する敵意に満ちた法律」と非難。米国との関係修復を訴えたが、米側の姿勢に変化は見られていない。
加速する東西間の綱引き
「ジョージアの夢」政権は近年、中国との関係強化を推進する一方でEU加盟プロセスに逆行する立法を推進。10月26日の総選挙では不正疑惑が米欧から相次いで指摘され、さらに外交関係を悪化させた経緯がある。
現地の政治アナリストは「トランプ陣営の影響力が強まる米議会と親中派ジョージア政権の対立は、新冷戦構造の縮図だ」と指摘。日本にとっても黒海地域の安定維持と自由主義陣営の結束強化が重要課題となりつつある。
この状況下でジョージア通貨ラリは先週1ドル=3.1ラリ(約161円)と今年最安値を更新。外資系企業の撤退が相次ぐなど経済への影響も懸念されている。今後米政府が制裁を発動した場合、日本企業の対ジョージア投資にも影響が及びかねない情勢だ。
メディアソース: civil.ge