ジョージア・バトゥミでドイツ大使が暴言被害 与党支持者関与か
暴言事件の発覚と経緯
5月18日、ジョージア・バトゥミ(Batumi)市街地でピーター・フィッシャー(Peter Fischer)駐ジョージアドイツ大使が暴言被害に遭った。地元政府系メディアPOSTVが公開した映像によると、「ジョージアの夢」与党支持者とみられる男性が大使への侮辱行為を行い、公共の場で卑猥な言葉を投げ掛ける様子が捉えられている。
ドイツ大使館はフォーミュラTVの取材に対し「事件を確認し、偶然その場に居合わせたジョージア市民が大使を支援したことに感謝する」と回答。暴言を吐いた男性は周囲から非難を受けるとすぐに現場から立ち去ったが、警察官は事件当時現場に不在だったという。
SNSに投稿された衝撃の動画
当該男性はTikTokに自ら撮影した動画を投稿し、ドイツ大使を露悪的な言葉で罵倒した内容を開示。「この国に入国させず、ジョージアで飢え死にさせるべきだ」と過激な発言を繰り返す一方、「現政権に言ってやったこと」として与党支持者であることをほのめかす発言も含まれていた。
野党指導者たちは一斉に事件を非難。中でも「戦略家アグマシェネベリ」党のギオルギ・ヴァシャゼ(Giorgi Vashadze)党首は「恥ずべき反ジョージア的行為」と評し、政府が長年続けてきた反欧米プロパガンダの結果だと指摘した。
与党の外交官批判の前例
今回の事件以前からフィッシャー大使は与党の批判対象となっていた。シャルヴァ・パプアシュヴィリ(Shalva Papuashvili)国会議長は5月16日、記者に対する司法干渉疑惑を理由に大使を「ソ連的思考」と非難。直前にバトゥミ地裁で行われたジャーナリスト裁判に大使が出席したことも問題視していた。
与党系メディアも対抗キャンペーンを展開。「イメディ」テレビは大使が反政府活動家に指示を与える様子を伝えるなど、外交官に対する風当たりを強める報道を継続していた。
背景にある政治対立
事件はジョージアの欧州統合路線を巡る対立が背景にある。2012年以来与党を率いる「ジョージアの夢」は近年欧米諸国との確執を深めており、主要イデオローグのザザ・シャティリシヴィリ(Zaza Shatirishvili)が外交使節団の行動制限を提言するなど、反欧州的な言動が顕著化している。
政府側は「外交官の内政干渉」を理由にヴィーン条約を引き合いに出すことが増加。一方野党陣営は、5月26日に迫る議会選挙を前に「意図的な欧米批判キャンペーン」が暴行事件を誘発したと主張している。
現在、駐ジョージアEU代表部は「民主的プロセスへの外部干渉は容認できない」とする声明を発表。ドイツ外務省も事態を深刻視し、ジョージア政府に真相究明を求めている。
メディアソース: civil.ge