ジョージア公共放送「リアルールーム」打ち切りで編集チーム集団退職 抗議の背景
番組終了に抗議し編集チームが集団退職
ジョージア(Georgia)の公共放送局GPB(საქართველოს საზოგადოებრივი მაუწყებელი)の人気討論番組「リアルールーム(რეალური სივრცე)」の編集チームが、番組打ち切りに抗議して集団退職する事態が発生しました。制作チームは4月30日、局側が提示した他番組への異動案を拒否し、「視聴者に真実を伝える手段を失った」と声明を発表しました。
12年の歴史に幕 司会者解任が発端
問題の発端は、4月11日に司会者のニノ・ザウタシヴィリ(Nino Zautashvili)氏が解任されたことにあります。ザウタシヴィリ氏はGPBの運営理事会を批判する発言で知られ、解任後は「違法な人事」と非難されていました。局側は番組の契約更新をせず、制作チームにラジオ番組や広告部門などへの異動を提案しましたが、チームは「番組終了を支持する行為」として拒否しました。
「GPBの現経営陣は、制作部門と事務局の特定の人物たちの意向で、12年の歴史を持つ番組を閉鎖した」と編集チームは声明で厳しく批判
「市民の声を消す試み」と非難
「リアルールーム」は2012年から放送され、市民と公務員の直接対話を促進することで評価を得てきました。地方都市や村々の声を伝える役割を担い、社会問題を積極的に取り上げてきた同番組について、編集チームは「現在こそ社会に必要なコンテンツ」と主張。局側の決定を「チームの解体と言論の抑圧」と位置付けています。
メディアの独立性を懸念する声
この事態を受け、メディア擁護団体「メディア・アドボカシー連合」は4月15日、「ジャーナリズムの自律性が脅かされている」と警告する声明を発表。ザウタシヴィリ氏とともに解任されたジャーナリストのヴァシル・イヴァノフ=チコヴァニ(Vasil Ivanov-Chikovani)氏のケースも、言論の自由への圧力と見られています。
背景に政権批判への締め付け
GPBを巡っては近年、政権批判的なコンテンツへの圧力が強まっています。3月24日には局側が「編集方針への批判は虚偽情報」とする声明を発表。3月22日には運営理事会の8人が検察に対し、批判的なスタッフの「根拠なき告発」の調査を要請していました。
現在、GPB本社前では毎晩、「GPBを守る」をスローガンに抗議集会が続いており、編集チームは「独立したジャーナリズムを続ける」と結束を表明しています。この騒動は、ジョージアにおけるメディアの自由を巡る大きな論争に発展しています。
メディアソース: civil.ge