EU、ジョージアのビザ免除停止検討 自由貿易協定見直しと候補国凍結の可能性
欧州連合(EU)拡大担当のマルタ・コシ(Marta Kosi)委員は、ラジオ・フリー・ヨーロッパとのインタビューで、ジョージア(Georgia)政府に対し民主主義の後退と人権状況悪化を受けた制裁措置を検討していると表明した。具体的な措置としてビザ免除制度の停止、深遠かつ包括的自由貿易協定(DCFTA)の見直し、EU候補国ステータスの凍結などの可能性に言及した。
EUの懸念と対応策
コシ委員は「ジョージア国民の大多数に影響を与える可能性がある」としつつも、ビザ免除制度の撤回を検討せざるを得ない現状を強調。同時に「EUの価値観に明らかに反する法律」を制定する現政権を批判しつつ、ジョージアを「欧州の道」に復帰させるための対話の必要性にも言及した。
経済的及び政治的措置の可能性
現行のDCFTA見直し案は、現在トルコに適用されている措置と類似する。コシ委員は「『ジョージアの夢』政権が国民の欧州志向を無視している」と指摘する一方で、EUとしてジョージアを「失うことは受け入れられない」との認識を示した。
加盟国間の足並み不一致
制裁に関してはEU加盟国間で意見の一致が見られない状況が続いている。ただし一部の加盟国が独自にジョージア政府関係者に対する制裁を発動している事実を明らかにした。
将来の対話可能性
現状では高レベルの対話が行われていないものの、コシ委員は「低いレベルから協議を開始し、進展を見守る」と述べた。ただし対話は「明確な目的」に基づき、欧州統合プロセスの再開を軸に構築されるべきだとの条件を付けた。
同委員は「最も簡単なのは対話しないことだが、話し合うのであれば、双方が何を提供できるかを明確にする必要がある」と、戦略的アプローチの重要性を強調。今後の展開はジョージア政府の姿勢次第だと指摘した。
ジョージアでは2024年11月に発生した抗議運動「プロテスト2025」を契機にEUとの関係が悪化。日本からも多数の観光客が訪れる同国は現在、ロシア寄りとされる政策が欧州統合の障壁となっている。
メディアソース: civil.ge