ジョージア「夢」党、メラブ・トゥラヴァを司法副大臣に任命 国際批判の背景
国際制裁対象者の異例の登用
ジョージア(グルジア)の憲法裁判所元長官メラブ・トゥラヴァ(Merab Turava)が4月29日、与党「ジョージアの夢」党主導の政権下で司法副大臣に任命されました。この人事はリトアニア政府が同党関係者に科した制裁対象者を登用した点で国際的な注目を集めています。
欧州連合加盟国による制裁措置
トゥラヴァは2023年9月、リトアニアが「民主的機関の破壊に関与した」として制裁対象に指定した人物の1人です。同制裁リストには判事、検察官、警察関係者など計33名が含まれており、「ジョージアの夢」党が推進する抑圧的な政策への国際社会の懸念が反映されています。
トゥラヴァの経歴と論点
2020年6月から2025年3月まで憲法裁判所長官を務めたトゥラヴァは、2015年に判事に就任。2018年からは副長官職を兼務していました。注目すべき経歴として:
物議を醸した司法判断
2015年にはティビリシ(Tbilisi)元市長ギギ・ウグラヴァ(Gigi Ugulava)の勾留期間延長問題で判決文への署名を拒否。この判断が裁判手続きの遅延を招いたとして批判を受けました。
メディア関連訴訟への関与
主要テレビ局「ルスタヴィ2(Rustavi 2)」の所有権をめぐる訴訟でも審理に参加。同局の経営権移転を認める判決が下された際、メディアの独立性への影響が懸念されました。
政府内の大規模人事異動
今回の人事は4月2日に発表された政府改造の一環です。主な変更点:
- 新司法大臣にパアタ・サリア(Paata Salia)元「ルスタヴィ2」ディレクターが就任
- 前大臣アンリ・オハナシヴィリ(Anri Okhanashvili)が国家保安局長官に異動
政治的背景
トゥラヴァは2014年の政権交代後、「ジョージアの夢」党によって憲法裁判所判事に推薦されました。今回の登用は司法分野における党の影響力強化を示す動きと分析されています。
欧州連合(EU)加盟を目指すジョージアにとって、国際社会が懸念する人物の登用が今後の欧州統合プロセスに与える影響が注目されます。日本政府もジョージアの民主的発展を支援しており、法の支配の維持が両国関係において重要な課題となる可能性があります。
メディアソース: civil.ge