ヘルシンキ委員会がジョージアの新選挙と政治犯解放を要求―国際社会に連携呼びかけ
米議会機関がジョージア情勢に緊急提言
米国ヘルシンキ委員会(Helsinki Commission)のメンバーが、ジョージア(グルジア)における新たな議会選挙の実施と、最近の抗議活動中に拘束された政治犯の即時釈放を国際社会に要請しました。同委員会は「違法政権」と表現する現政権に対し、150日間続く市民デモを「自由と独立への揺るぎない意思の表れ」と評価しています。
民主主義の危機に警鐘
「ジョージア国民は非民主的な政権に屈することなく、150日間も平和的な抗議を続けています。この粘り強い民主主義への希求を誇りに思う」と声明で強調。現政権「ジョージアの夢(Georgian Dream)」を、メディア弾圧や野党抑圧により「トランスアトランティック(欧米諸国)との距離を広げている」と批判しました。
地域安全保障への影響懸念
同委員会は「南コーカサス地域の安定の要」とされるジョージアが「ロシア・中国・イランのような抑圧国家」化する可能性を指摘。現政権が権力維持を続ける場合「民主的価値観を守る重要な同盟国を失う」と国際社会に警鐘を鳴らしています。
具体的な要求事項
- 自由で公正な新議会選挙の即時実施
- 政治犯全員の無条件釈放
- 欧米諸国による共同行動の要請
声明にはロジャー・ウィッカー(Roger Wicker)上院議員をはじめ、両党の議員6名が署名。ジョージアの1ラリ(約52円)経済への影響や、日本企業が関与するアナクリア港開発問題への言及も過去にあり、東アジアとの接点も注目されます。
歴史的背景と現状
ジョージアは2008年のロシア侵攻後、NATO加盟を目指す親欧米路線を堅持してきました。しかし近年、与党「ジョージアの夢」がロシアとの関係改善を模索する中、EU加盟申請をめぐり国内が二分されています。今回の抗議は「外国代理人法」改正案をきっかけに勃発し、市民社会組織への規制強化に反対する若者を中心に拡大しました。
ヘルシンキ委員会は1976年に設立された米議会の超党派機関で、欧州安全保障協力機構(OSCE)参加国の人権状況を監視。日本もアジア唯一のOSCEパートナー国として、ジョージア情勢に間接的に関与しています。
メディアソース: civil.ge