ジョージア控訴裁、テムル・カタマゼの難民申請却下 トルコ強制送還の危機
裁判所が難民認定を拒否 国外退去の危機
トビリシ(Tbilisi)控訴裁は7月23日、ジョージア系トルコ人活動家のテムル・カタマゼ(Temur Katamadze、別名ガファル・イルマズ/Gafar Ilmaz)に対し、難民認定および人道的保護の申請を却下した。57歳のカタマゼは2012年からジョージアに在住しており、親欧州デモの先頭で常に国旗を掲げる姿から「バトゥミの旗手」として知られていた。今回の決定はトルコへの強制送還の可能性を意味する。
反政府活動が拘束の背景か
弁護人でジョージア若手弁護士協会のマリアム・ガブロシュヴィリ(Mariam Gabroshvili)氏は「トビリシ市裁判所と同様、控訴裁も申請を却下した」と説明。カタマゼが40年にわたるジョージア・ディアスポラ支援活動を理由に拘束されている可能性を指摘した。トルコ当局は2023年、カタマゼが同国で過激派指導者フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gülen)支持の罪で逮捕されると通告。本人は「でっち上げ」と主張している。
政治亡命の訴えと人権団体の警告
3月18日、ディアナ・パルコサゼ(Diana Parkosadze)裁判官は第一次審で難民申請を却下。社会正義センターが提出したアミカス・キュリエ(法廷助言者意見書)では「送還により拷問や差別の危険に晒される」と警告した。カタマゼは1月16日に拘束後、48日間のハンガーストライキを決行し健康状態が悪化。現在は移送施設に収容されている。
欧州統合への貢献と人権問題
カタマゼはバトゥミ(Batumi)での大規模抗議活動で主導的役割を果たし、ジョージアのEU加盟を求める市民運動の象徴的存在として認識されてきた。今回の司法判断は、欧州人権条約違反の可能性を指摘する専門家もおり、国際社会の反応が注目される。日本政府も難民保護に関する国際規範の遵守を求める立場から、今後の対応が問われる事案だ。
今後の展開と懸念
ガブロシュヴィリ弁護士は「政府が政治的理由で退去命令を行った場合、外交チャンネルを通じた国際的介入が必要」と訴える。ジョージア移民局は決定後30日以内の異議申し立てを認めておらず、即時送還の可能性が高まっている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緊急介入要請が焦点となる中、日本の人権団体からも支援の動きが広がりつつある。
メディアソース: civil.ge