ジョージア・トビリシ控訴裁、テムール・カタマゼ氏の難民申請却下 強制送還へ
「バトゥミの旗手」が直面する難民申請却下
トビリシ(Tbilisi)控訴裁判所は、ジョージア系トルコ人のテムール・カタマゼ(Temur Katamadze、57歳)に対し、難民認定および人道支援対象者としての地位を認めない決定を下しました。この判決により、2012年からジョージアに在住していたカタマゼ氏のトルコへの強制送還が現実のものとなりつつあります。
プロ・ヨーロッパ派活動家の軌跡
カタマゼ氏は黒海沿岸都市バトゥミ(Batumi)での反政府デモで常にジョージア国旗を掲げたことから「バトゥミの旗手」の異名を持ちます。支援団体「ジョージア若手弁護士協会」のマリアム・ガブロシヴィリ(Mariam Gabroshvili)弁護士は「40年にわたるジョージア人ディアスポラの権利擁護活動が当局の標的とされてきた」と指摘。トルコ帰国後の身の危険性を訴えています。
国際人権法違反の懸念
社会正義センターが提出したアミクス・キュリー(法廷助言者)意見書によると、カタマゼ氏が支持を表明したフェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gülen)運動を理由に、トルコ当局から「拷問や差別を受ける重大なリスク」があるとされています。ギュレン氏はトルコ政府がテロ組織と認定する宗教指導者で、2016年のクーデター未遂事件に関与したとして非難されています。
長期拘束と健康悪化
カタマゼ氏は2024年1月に移民局施設に収容され、48日間のハンガーストライキを実施。体重が20kg以上減少するなど健康状態が深刻化しました。3月の一審判決に続く今回の控訴棄却で、ジョージア国内での法的救済手段がほぼ尽きた状態です。
日・ジョージア関係との関連性
日本は2023年にジョージアと査証免除協定を締結し、人的交流拡大を推進しています。民主化と欧州統合を目指すジョージア市民の権利保護は、国際社会を標榜する日本にとっても無視できない課題です。今後の対応が両国関係に与える影響が注目されます。
メディアソース: civil.ge