ジョージアのテレビ局「メイン・アルヒ」放送停止へ 5月1日に完全閉局
ジョージア(Georgia)の主要オポジション系テレビ局「メイン・アルヒ(Mtavari Arkhi)」が5月1日をもって完全閉局することが分かった。同局のジャーナリストらが4月28日、ソーシャルメディアで発表した。
突然の放送停止と関係者の反応
今年2月15日から放送を停止していた同局は、ドラマや再放送コンテンツのみを流す「つなぎ運営」を続けていたが、復旧の見込みが完全に途絶えた。ジャーナリストのタティア・ツォツォナヴァ(Tatia Tsotsonava)氏は「最後の希望も消えた」と沈痛な表情で報告した。
創設メンバーのイラクリ・バフタゼ(Irakli Bakhtadze)氏は「創設時から家族のように関わってきた局を離れなければならない」とコメント。別の共同創設者ニカ・グヴァラミア(Nika Gvaramia)氏は「メイン・アルヒは閉じるが、新たなメディアが生まれる」と再出発を暗示した。
経営紛争と内部対立
閉局の背景には激しい内部対立があった。現経営陣は共同創設者のザザ・オクアシュヴィリ(Zaza Okuashvili)氏を、与党「ジョージアの夢」の意向を受けた放送停止工作の容疑で非難。これに対しオクアシュヴィリ氏側は、ギオルギ・ガブニア(Giorgi Gabunia)元局長らが財政操作を行い経営破綻をもたらしたと反論している。
ジャーナリストの新たな挑戦
閉局決定を受け、主要キャスター陣はYouTubeでの新番組開始を相次いで発表。ナティア・ゴグサゼ(Natia Gogsadze)氏らは「On Time」を、エカ・クヴェシタゼ(Eka Kvesitadze)氏は国際問題専門番組「Mismine Media」を立ち上げた。
ジョージアのメディア環境
同局は近年、政府批判報道で知られ、2021年には首相インタビュー中継中に抗議デモを生放送するなど物議を醸してきた。EU(欧州連合)の最新報告書では、ジョージアのメディア多元性が後退していると指摘されており、主要オポジションメディアの閉鎖は言論の自由をめぐる懸念をさらに深めそうだ。
閉局の正式な理由は明らかになっていないが、欧米諸国から民主主義のバロメーターとして注視されていた同局の消滅は、コーカサス地域の地政学的状況にも影響を与える可能性がある。
メディアソース: civil.ge