ロシアがアブハジアに直行便開始 ジョージア政府が国際法違反と非難
ロシアのアブハジア直行便にジョージア政府が強く反発
ロシアが2025年5月1日、占領下のアブハジア(Abkhazia)地域への直行定期便運航を開始したことに対し、ジョージア政府が「国際規範と国内法の重大な違反」として強く非難しました。ロシア国営通信「リア・ノーボスチ」によると、ウラジオストク系航空会社「UVTエアロ」がモスクワ・ヴヌーコヴォ空港からアブハジアの首都ソフミ(Sukhumi)に向けて第1便を運航。当初5月3日予定だった第1便が需要拡大を理由に前倒しされたと報じられています。
ジョージア政府高官が法的問題を指摘
ジョージアのレヴァン・ダヴィタシヴィリ(Levan Davitashvili)副首相兼経済相は記者会見で「国際民間航空機関(ICAO)も支持する明白な立場だ」と強調。「占領に関する法律と国際航空基準の二重違反であり、ICAO加盟国として承認できない」と声明を発表しました。同相は「安全基準の検証が不可能な空港での運航は航空安全上の重大なリスクだ」と指摘しています。
国際社会の反応と背景事情
ロシア側は他に「iFly Airlines」「ノーススター」も路線を拡充する方針。これら3社は2022年のウクライナ侵攻後、西側諸国から制裁を受けた企業です。ソフミ空港では2月7日、32年ぶりにロシア機が試験着陸を実施。3月には鉄道接続の試験運行も行われるなど、地域支配強化を図るロシアの動きが活発化しています。
ジョージア航空当局の声明
ジョージア民間航空庁は「ソフミ空港は国際基準を満たさない」とする公式声明を発表。1944年シカゴ条約に基づく国際義務を強調し「不法空港からの運航は乗客の安全を脅かす」と警鐘を鳴らしました。同時に外務省はICAOに正式抗議文書を提出し、国際社会に対応を求めています。
EUも違法行為を非難
欧州連合(EU)報道官は5月3日、ロシアの措置を「主権侵害の新たな具体例」と批判。「ジョージア政府の同意を得ない一方的な行動は許されない」とする声明を発表しました。EUは引き続きジョージアの領土一体性を支持する姿勢を明確にしています。
今後の展開予測
ジョージア政府はロシア系航空会社に対し国内空港の利用禁止など対抗措置を準備中。今後の国際社会の対応が注目されます。特にICAOを中心とした国際航空ルールを巡る議論が活発化する可能性が高く、欧米諸国との連携強化がジョージア外交の焦点となりそうです。
※本記事は5月2日16:45に外務省声明、3日21:40にEU声明の情報を追記して更新
メディアソース: civil.ge