ジョージア検察庁、7歳児への暴力事件で母親と祖母を起訴
家庭内での暴力が刑事事件に発展
ジョージア(グルジア)検察庁は7月5日、首都トビリシ(Tbilisi)で発生した7歳女児への暴行事件で、実の母親(35)と祖母(60)を刑事訴追したと発表しました。被告人2人は、被害児童に対して長期にわたる身体的・心理的虐待を加えた疑いで告訴されています。
児相通報が捜査の契機に
事件が発覚したのは、女児が通う学校の教師が顔面や腕に複数のアザを確認し、児童相談所に通報したことがきっかけでした。児童保護専門家との面談で、女児が自宅で日常的に暴力的な扱いを受けていた実態が明らかになりました。
検察庁の声明によると、2023年6月から2024年5月までの期間、母親は娘の頭髪を強制的に引き抜く行為を繰り返し、祖母も食事を与えないなどの虐待に関与していたとされています。両被告は現在、自宅軟禁下に置かれています。
ジョージアの児童保護法の厳罰化
ジョージア刑法188条に基づき、2人は「未成年者に対する虐待および搾取」の罪で起訴されました。有罪判決が下された場合、3年以上6年以下の禁錮刑が科される可能性があります。2021年の法改正で、児童虐待事件の起訴率が前年比32%増加するなど、当局の取り組みが強化されている背景があります。
日本との司法協力にも言及
ジョージア検察庁の広報官は記者会見で「子どもの権利保護は国境を越えた課題」と強調し、日本を含む各国との情報共有体制の構築に言及しました。両国は2022年に刑事共助条約を締結しており、国際的な児童保護ネットワークの強化が進んでいます。
この事件を受け、ジョージア児童権利擁護センターは緊急の電話相談窓口を設置。過去1週間で虐待の疑いがある通報が平日の3倍に増加するなど、社会に大きな衝撃を与えています。専門家は「伝統的な子育て観と現代の児童保護制度のギャップが背景にある」と指摘しています。
今後の裁判では、被告側が「しつけの一環」と主張する可能性が取り沙汰される中、ジョージア社会における家族観と子どもの人権保護のバランスが問われることになりそうです。次回公判は今月15日にトビリシ地方裁判所で開かれる予定です。
メディアソース: interpressnews.ge