ジョージアとロシアの関係正常化進展 EUの将来にロシア外務省が懸念表明
ロシア外務省がEUの持続可能性に疑問符
ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)報道官は4月24日の会見で、与党「ジョージアの夢」が掲げる「2030年までのEU加盟」目標について言及し、EUの将来性と経済的価値に疑問を投げかけた。ザハロワ氏は「EUは危機的状況にあり、10年後には存在すら危ぶまれる」と指摘。その上で「ジョージアとロシアは関係正常化に向け計画的に取り組んでいる」と明らかにした。
イギリスのEU離脱を引き合いに
ザハロワ氏は「EU加盟を目指す国々は、加盟先が存続しているか確認すべきだ」と皮肉を交えて発言。イギリスのEU離脱(ブレグジット)を例に挙げ「利益を得られる場では常に先陣を切るイギリスでさえ、真っ先にEUを離脱した」と述べ、EUの衰退リスクを強調した。
さらに「EU内部の危機は明白で、自国経済を考えるなら加盟は得策ではない」と主張。ジョージアに対し「スローガンではなく具体的な数字を見るべきだ」と助言した。
ジョージア・ロシア関係の現状
両国は2008年の南オセチア紛争以来、国交を断絶しているが、ザハロワ氏は「相互尊重と利益に基づく二国間関係を構築中」と説明。人道支援や実務協力を活性化させ、「両国民の利益に適う関係正常化を推進している」と述べた。ロシア側は既に「善意と意思」を示していると強調した。
EU加盟をめぐるジョージアの現実
ジョージアは2023年12月にEU候補国の地位を獲得したものの、近年は関係が悪化。2024年11月、イラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相が「2028年までEU加盟交渉開始を見送る」と表明したことで大規模な抗議が発生。EUは民主主義の後退や反西欧的言動を批判し、財政支援の停止やビザ免除制度の凍結などの措置を講じている。
与党「ジョージアの夢」は2030年加盟を主張するものの、具体的な戦略は不明確。民主化の遅れや西側諸国との対立深化が障害となっており、実現性に疑問の声が上がっている。
地域情勢への影響
ザハロワ氏の発言は、旧ソ連圏におけるロシアの影響力維持戦略を反映。EU東方拡大への牽制と並行し、ジョージアとの関係修復をアピールする二重戦術が透ける。日本にとっては、黒海地域の安定性やエネルギー輸送路に影響を与える可能性がある情勢として注視が必要だ。
メディアソース: geinfojp.wordpress.com