米議員、OSCE事務総長にジョージア訪問延期を要求
米国議員、OSCE事務総長にジョージア訪問の延期を要請
アメリカのヘルシンキ委員会の共同議長であるジョー・ウィルソン (Joe Wilson) 下院議員は、欧州安全保障協力機構 (OSCE) の事務総長であるフェリディン・シニルリオール (Feridun Sinirlioğlu) 氏に対し、来週予定されているジョージア (Sakartvelo) 訪問を延期するよう求めました。ウィルソン議員は、ジョージアの与党「グルジアの夢 (ქართული ოცნება)」の高官との会談は、彼らの立場と政府の最近の行動を正当化するだけだと警告しています。
2024年ジョージア議会選挙と「グルジアの夢」政府の正当性
ウィルソン議員は、2024年のジョージア議会選挙に関するOSCEの結論に言及し、この選挙が「グルジアの夢」政権の正当性に疑問を投げかけていると指摘しました。同議員は、昨年10月の選挙後、与党幹部が抗議活動参加者や野党勢力に対し「暴力的な弾圧」を行ったと非難しています。さらに、「助成金に関する法改正」についても言及し、この改正によって外国の助成金提供者は、政府の事前承認なしに資金を供与することができなくなり、政治団体への規制が強化されたと批判しました。
OSCE事務総長訪問が与党への支持と誤解される可能性を指摘
ウィルソン議員はシニルリオール事務総長に対し、「もし事務総長が来週トビリシ (Tbilisi) で会談を実施すれば、OSCEが『グルジアの夢』政権とその反民主主義的な行動を支持しているというメッセージを送ることになるでしょう」と述べました。さらに、「事務総長の意図がどうであれ、これまでの状況から判断すると、『グルジアの夢』は今回の訪問を、彼らの政策に対する明確な支持として宣伝するでしょう」と付け加えました。
訪問延期の要請と状況改善の必要性
ウィルソン議員は、「状況が改善するまで、OSCEと民主制度・人権事務所 (ODIHR) が過去に行った声明、特に選挙、外国人エージェント、抗議活動参加者への対応に関する声明に沿って、ジョージアへの訪問を延期することを強く求めます」と述べ、改めて訪問延期を要請しました。
OSCE事務総長の地域訪問ツアー
シニルリオールOSCE事務総長のトビリシ訪問は、南コーカサス地域を歴訪する地域ツアーの一環として計画されており、アルメニア (Hayastan) やアゼルバイジャン (Azərbaycan) などの国々も訪問する予定です。
MEGOBARI法案とジョー・ウィルソン議員の対ジョージア強硬姿勢
「グルジアの夢」政権に対する厳しい批判で知られるウィルソン議員は、米国上院に提出された「MEGOBARI法」の共同提案者でもあります。この法案は、ジョージアの民主主義を損なう責任があると見なされる「グルジアの夢」の政府高官や関係者に対する制裁を米国政府に求めるものです。一方で、この法案はジョージアの市民社会と国民への支持を明確に表明しています。
ジョージア国内の政治的対立と懸念
ジョージアの市民社会、サロメ・ズラビシビリ (Salome Zourabichvili) 大統領、そして主要な野党勢力は、2024年10月26日に実施された議会選挙の正当性を認めていません。そのため、「グルジアの夢」が支配する現議会、政府、そして選出されたミヘイル・カヴェラシビリ (Mikheil Kavelashvili) 大統領も正当なものとは見なしていません。彼らは、選挙の不正疑惑を訴え、改めて自由で公正な選挙の実施を要求しています。また、与党「グルジアの夢」が、外国要人との会談や訪問を、自らの権威主義的な政治 agenda を正当化するために利用しているのではないかという懸念も表明しています。
過去にもOSCE関係者による訪問キャンセル事例
今年の1月初旬には、OSCE議会総会のピア・カウマ (Pia Kauma) 議長が、1月8日に予定されていたジョージア訪問を中止することを発表しました。この訪問計画に対しては、野党勢力とズラビシビリ大統領から強い批判が寄せられていました。彼らはカウマ議長に対し、「グルジアの夢」政権がこの訪問を政府と議会の正当性をアピールするために利用するだろうと警告していました。
欧州評議会事務総長への批判
さらに遡る2024年12月には、欧州評議会のアラン・ベルセ (Alain Berset) 事務総長が、ズラビシビリ大統領、野党、市民社会から激しく批判される事態となりました。これは、ベルセ事務総長がトビリシを訪問し、イラクリ・コバヒゼ (Irakli Kobakhidze) 首相を含む与党幹部と会談後、突然「外国人エージェント法」の見直しに向けた合同委員会の設置を発表したためです。
野党による欧州評議会への提訴
その後、ジョージアの主要野党4党は共同声明を発表し、欧州評議会議員会議 (PACE) と閣僚委員会に対し、アラン・ベルセ事務総長のジョージア訪問における行動の適切性、および欧州評議会の基本原則との整合性について、1月に開催される公聴会で議論するよう求めました。
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