リトアニア外相、民主主義後退でジョージア政権との関係改善拒否
リトアニアのケストゥティス・ブドリース(Kęstutis Budrys)外務大臣が、ジョージア(グルジア)の与党「ジョージアの夢」政権との関係正常化に強く反対する姿勢を表明した。EU(欧州連合)が同国の民主主義後退への対応で機会を逸し、市民社会への弾圧や不正選挙への厳格な制裁措置を取らなかったと批判している。
EUの対応遅れが事態悪化招く
ブドリース大臣は5月20日のインタビューで、EUが過去に複数の機会で決定的な措置を取れなかったことが状況悪化を招いたと指摘。反政府デモへの暴力鎮圧やNGO活動を制限する「外国代理人法」の制定など、政府の行為が「レッドラインの越境」だと非難した。「民主的自由が制限される中、EUとジョージアの協力関係も損なわれている」と懸念を表明している。
ジョージア政府に民主主義回復要求
ブドリース大臣は「国民の大多数がEU加盟を希望している」と前置きしつつ、政府に対して以下の具体的措置を要求:
- 自由で公正な選挙の実施
- 野党・NGO活動を制限する法令の撤回
- 民主的制度の回復
「関係改善の責任は完全にジョージア政府にある」と強調し、要求が履行されない限り「悪化の一途をたどる」と厳しく警告した。
EU関係者との接触も拒否
欧州委員会のカイヤ・カラス(Kaia Kalas)副委員長ら高官の現政権との接触可能性について問われると、「現状では正常化交渉の余地はない」と拒絶。「欧州の価値基準を再構築し、民主的条件が回復されなければ、今後の協力関係も見直される」と述べ、EU加盟プロセスの前提条件を改めて明示した。
ジョージア政府側の反応
これに対しイラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相は5月21日の会見で、リトアニア外務省を「ディープ・ステートの下部組織」と激しく非難。両国の外交的緊張が更に高まっている状況を示した。
リトアニアの対ジョージア姿勢
リトアニアは2024年11-12月のデモ鎮圧を受けて、ジョージア政府関係者15名以上に渡航禁止措置を実施。EU加盟国の中で最も早く具体的な制裁に踏み切った国として知られる。同国の議会も早期に「民主主義後退への懸念決議」を採択するなど、一貫して強硬姿勢を維持している。
ブドリース大臣は最後に「欧州の価値を守る覚悟がないなら、協力の基盤そのものが崩壊する」と述べ、今後もジョージア政府に厳しい監視の目を向ける姿勢を強調した。
メディアソース: civil.ge